ただ猫に癒されたいだけだった日。
ペットショップで出会った猫たちの中で、静かにこちらを見ていた一匹のサイベリアン。
アレルギーが出にくい猫種だと聞いて、「この子がサイベリアンね〜」と気軽に見ていた時
店員さんに声をかけられて抱っこしてみたら、嫌がることなく体を預けてくれました。
驚くほど落ち着いていて、腕の中で丸くなって、ずっと膝の上にいてくれたんです。
しばらく抱っこしていましたが、アレルギー症状がまったく出なかった。
「え、なんで?」って、ほんとうに驚きました。
先週、別の猫を抱っこした時は、数分でかゆみや鼻の違和感が出ていたのに──
この子はまるで違いました。
「この子となら、暮らせるかもしれない」──そう思った瞬間、胸がきゅっとなりました。
でもすぐに現実がよぎります。
共働き、子育て、時間の制約、そしてアレルギーと向き合う日々。
両親にも「アレルギーや金銭面を考えるとやめた方がいい」と反対されていたし、正直、自信はありませんでした。
それでも……
この子を置いて帰ることはできませんでした。
お店でいちばん長く待っていると聞いたこの子が、静かに抱かれてくつろいでいる姿を見てしまったから。
その夜、何度も何度も思い出しました。
そして、「もう一度会いたい」と強く思いました。